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森に穏やかな活気が戻ってくる頃、ミアは我慢しきれなくなった欠伸を零した。
森のその他の異常、及び魔物の残存が居ないかの確認が終わるまで、くれぐれも大人しくしているようにとリヒトに命じられたミアは、切り株に腰を下ろして様子を伺っていた。
魔獣達も相棒の騎士と一緒に仕事をこなしているというのに、自分だけすることがないとなると徹夜明けの疲労がのしかかって来る。
「随分と気が緩んでるな」
眠気覚ましには丁度いい鋭い声に肩を震わし、後ろを振り返れば部下達に指示を出し終わったリヒトが、ミアを見下ろしていた。
「なっ、何かお手伝いすることありますか?」
「これ以上首突っ込まれて、振り回されるのはもう御免だ」
「ここに来たこと……もしかして怒ってたりします?」
明らかに普段よりも一弾と強い怒りの空気に、震える体を抑えるので必死になる。
「ああ。とてつもなくな。今回の報告書は全て、お前に書かせてやってもいい」
「そっ、それは始末書と反省文でどうか許して貰えませんか……?」
「始末書はなしにすると言っただろ。それとも何だ?どうしても書きたいというのなら話は別だ」
低く唸るリヒトは、今にもミアに噛みつきそうな程機嫌が悪い。



