「ハイロン。こいつはうちの部隊の召喚士のミアだ。ここで魔獣達の世話役もやってもらっている。何か必要な物があれば彼女に聞いてくれ」


「ああ……!噂の召喚士様ですか!まさかこんな形でお会い出来るとは」



 どのような噂が出回っているのか、知りたい気持ちも無くはないが、今はそんなことはどうでもいい。

 一刻も早く、魔獣達から苦痛を取り除いてやりたい気持ちでいっぱいだった。

 邪魔にならない範囲で手伝える事があれば何でもやると、意気込むミアは想いの熱を瞳に宿す。その瞳を見たハイロンは一瞬、驚いた顔をしたかと思えば、すぐに柔らかい笑みを浮かべた。



「有難い申し出です。では早速、藁を布か何かに包んで枕として持ってきて貰えませんか?あと、水もバケツ一杯分欲しいです」


「はい!今、持ってきますね!」



 言われた通りに藁を小屋からかき集め、洗いたての大きめのタオルに包んでは、ハイロンに指示出された場所へと持っていく。それが終われば次は井戸へと走り、水を組む。

 世話役として今まで行ってきた仕事が染み付いているお陰で、ミアは今この場にいる誰よりもやるべき事を的確にこなす。

 滲む額の汗も拭わず、走り回っていると、ハイロンがあちこち回るように檻の中へと入り始めた。