『ったく、調子狂うな……』
そっぽを向いたフェンリルが何を言ったのか聞き取れなかったミアだったが、彼の言葉に胸の奥で渦巻く何かが綺麗サッパリ消え去っていくのを感じる。
それが温かく胸に溶け込んでいって、ぎゅっと胸元を握りしめた。
「ありがとう、フェンリル」
フェンリルを力強く抱きしめると、離れろと言わんばかりに抵抗してくるのを無視して顔を擦り付けた。嫌がるフェンリルから離れて、今自分達が直面している問題を説明する。
第四部隊の言われように、精霊の森の消失に森を消失させた何かが動いていること、それに対抗する力が今ここにはないこと。
他の部隊の召喚士は名のある者ばかり。神獣は彼らに任せるのが普通だと言われるのは分かりきっている。
「ここにいる皆が積み重ねてきた努力を、馬鹿にされたくない。それに、私だって召喚士よ。やってみなきゃ分からないもの」
僅かな可能性がある限り諦めたくはないと、心の奥底の想いをフェンリルは黙って聞いていた。
何としてでも神獣をこの手で召喚してみせる……!
彼に甘えるように、心の奥底に眠る想いを伝えていると、ふとまだ手付かずの本日分の仕事に気づき、慌てて仕事に取り掛かる。



