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「千紘ちゃん、結構家近いんだね……俺もこの辺」
 今日は、朝陽仕事だよね。鉢合わせとか、気まづいからしたくない。
「そうなんだ……校区はどこ? 」
「俺、親の転勤でこっち来たから……苗字も珍しいじゃん? 」
 あー、確かに……応時なんてなかなかないよね。
「応時くんここです。ありがとう、送ってくれて」
「いや、いいんだけど……あれ、考えてくれたら嬉しい」
 さっきのだよね……。もちろん考える。
「応時くん、また話したいです……私、応時くんのこと、何も知らないから」
「うん! 話そ!! 俺よく屋上いるから、いつでも来てよ」
 屋上か……行ったことないなぁ。
「じゃあね、応時くん」
「……千紘っ、やっと捕まえた……っ」
 あぁ、せっかく忘れられるんじゃないかって思ったのに……鉢合わせだなんて、嫌なパターンだ。
「……私、帰るね。」
 朝陽の手を払って応時くんに笑顔を見せた。
「また明日……千紘!」
 朝陽が元カレだと察したのか気を遣って、私に呼び捨てで呼んだから私もそれに乗ってみた。
「うんまたね、亜樹くん」
 朝陽以外の男の子に名前呼びしたのは生まれて初めての経験だった。