愛たい夜に抱きしめて





自分の責任だって背負うことは、単純にすごいと思う。


人って、誰かに責任転嫁したくなるものだから。

自分のせいじゃない、あいつのせいだ、って。
押し付けてしまうほうが、楽だから。


……でも。でも、それは。




「第三者から見て、悪いのはあきらかに紫昏くんのお父さんだと思う。……けど、紫昏くんがお父さんのことを、全否定できてないのも、さっきの言い方で、なんとなくだけど察した」




その責任の取り方は、あまりにも残酷で。

自分のことを絶対的悪だと過信しないと、できないもの。




「だから、……ええっと、なんて言えばいいんだろ、」




こんな時、すらすらと自分の思いを言葉で設計して、声という形でペラペラと吐き出せるものがあれば、なんて楽か。

……けど、それができないから、きっと、伝わるように、一生懸命考えることが身についたんだ。




「紫昏くんは、第三者であるわたしたちにはわからないお父さんのことを知ってるから、悪だってバッサリ切り捨てることもできてない」