愛たい夜に抱きしめて





「……え?」




まさかわたしから言葉を聞くとは思っていなかったのか、ぽけっと間抜けな声を上げる紫昏くん。

そんな声を聞いて、今度は意識的に口を回した。




「あ、いやそのこれは私的な見解というかわたしの勝手な妄想っていうかええっとつまり、胸糞悪くなったり不快になったら遮って……や、もういっそのこと話ぶった切って部屋に入ってもらって大丈夫、だから」




自分でもよくこれを淀みなく言えたなと褒めてあげたい。

この時のわたしの呂律、ちゃんと仕事してえらいって。


内心わたしの舌を褒め称えながら、この夜の中で唯一わたしがしっかりと射抜ける淡い瞳を、貫く。

視線と、言葉で。




「……さっき、紫昏くん、全ては自分の責任みたいなこと言ってたけど、それは、違うと思う」