愛たい夜に抱きしめて





ゆさゆさ肩を揺さぶっていた紫昏くんの手を、鬱陶しそうに払い除けた氷昏くん。




「………誠に申し訳ないのですが、この状態になった氷昏兄さんは意地でも起きないので、しばらく耐えてもらってもいいですか………」




目を片手で覆いながら、絞り出すように言葉が落ちてきた。


そんな紫昏くんの姿に苦笑いをこぼして、軽く首を振る。



「大丈夫です。そこまで辛くないし」

「本当に……、僕が兄をきちんと見ておくべきだったのに、」

「大丈夫だって。気にしないで」




まるで人に慣れた猫のようにあどけなく眠る氷昏くんに、なぜか自然と笑みがこぼれた。




「……紫昏くんのお兄さんだから、氷昏くんは二つくらい上なの?」

「いえ。僕らと同じ一年生です」

「……あ、そうなんだ」



ブランケットを優しくかけた紫昏くんに、ぱちくりと瞬きを繰り返す。