愛たい夜に抱きしめて





「……はい、」



がちゃりとほんの少しだけ隙間を開けて外を覗き見れば、その隙間から、ひょっこり紫昏くんが顔を覗かせた。




「あ、乃坂さん。荷物の整理整頓はもう終わりましたか?」

「……うん、終わってる、よ」

「それはよかった。……ところで、つかぬことをお伺いしますが、乃坂さんは本日の夕食をどうするか決めていますか?」

「……え、夕食?」



慌てて手元のスマホを見れば、なんと18時半。列記とした夕食時。

ここに来たのがお昼前で、そのあと片付けし終わってそのままぐっすり寝ちゃったんだ……。



「実は、お昼を一緒にどうかと思って一度インターホンを鳴らしたのですが、反応がなくて。どこかにお出かけでしたか?」

「あ、いや……。ごめんなさい、ちょっと疲れて眠ってました」



おもに、カルチャーショックという名の疲れで。