愛たい夜に抱きしめて


꙳☄︎




「……ふはあ、」




ぼす、とソファに背中からダイブした。


うわ……、すっごいふっかふか。いっそこわいくらい。


なんだか怒涛だった。

いつも風の噂で耳にする檪紫昏くんと知り合いになって、その兄である氷昏さんを救ってしまったおかげで、こんな豪華な部屋を与えられ。



……あの夜の日に戻りたいだなんて、きっと、どうかしてるんだろうなあ。


ちら、と真横に設置されているガラステーブルを横目で見る。

……というよりは、テーブルの上に置いてある、段ボール箱を。



中身は、教科書に制服、それに私服が数着。


ミニマリスト並みに持ち物が、ない。

少ない、ではなく、本当にないのだ。




「……タイミング、わるいなあ」




友達もできないまま、ずっとひとりだと思ってたのに。


……ひとりで、いたかった、のに。



「……これから、どうなるんだろ」