愛たい夜に抱きしめて





……が、それはすぐに目の当たりにした。




「まず、エントランスに入るにはこの非接触キーの上部をリーダーにかざします。そうすればドアが開きますので」




紫昏くんの言う通り、オートロックの機械のまあるいところに渡された鍵をかざすと、スッと音もなくガラス張りのドアが開く。

そうしてエントランスを通り抜け、ロビーに入った瞬間、愕然とした。



─────ロビーが、とんでもないほどきらびやかだった。


自分があまりにも場違いだと感じてしまうほど。


ふかふかなソファにコンシェルジュ、不思議な形をした照明。

何もかもが、オシャレ兼ザ・お金持ちという雰囲気を醸し出していた。




「乃坂さん、……乃坂さん?」

「……え、あ、はい」

「大丈夫ですか?なんだか上の空のようでしたけど……」

「だ、だいじょうぶ、です」



ただ、ちょっとしたカルチャーショックのようなものを受けていただけ。