「よし、決まれば早速行こうかね。荷物はあるの?」
「はい。今日解約するマンションにあります」
「わかった。じゃあ、そのマンションに寄ってから俺の家に行こう」
瀬良さんはさすが社長……決断力が早く、飲み物を飲む中で色々決めてしまった。騙されているわけでもなさそうだし、このひとについていっても大丈夫だと思うし。
「あの、瀬良さん」
「ん? どうしたの?」
「これからよろしくお願いします」
軽く礼をすれば「こちらこそ」と言って瀬良さんは微笑んでくれた。
「じゃあ、こちらこそよろしくね。椛笑ちゃん」
入籍記念日になるはずが、まさかの展開に驚く間も無く大物を釣ってしまった感じの私はこれからどうなるのか自分でも想像出来ない。
「まずは、ランチ行こう。美味しいお店知ってるんだ」
「楽しみです。行きましょう」
だけど、まぁ、なんとかなるか……と切り替えて私は瀬良さんに付いて行くことにした。
【fin】



