【短】入籍予定だった彼に直前に振られたけど、その直後に大物が釣れてしまった件について。




 その後、役場前で話すのは少し恥ずかしい話だからと男性に「せっかくだしお茶しませんか」なんて言われてカフェに移動したのだけど。


「何にします? 奢りますよ」

「えっと、じゃあ……抹茶ラテで」


 彼は私の答えを聞くと呼び出しベルを鳴らして、注文をしてくれた。


「自己紹介してなかったよね、俺、瀬良(せら)穂貴(ほだか)。四十二歳」


 四十二歳……!?
 確かにダンディーだけど、そんな四十代には見えない。

「あー……ごめんね、めちゃくちゃオジサンだよね。君、とても若そうだし」

「いえ! せらさん、三十代かと思ったので……」

「それなら嬉しいなぁ」

「はいっ! あっ、私は中川椛笑です。二十九歳です……よろしくお願いします」


 よろしくしなくてもいいのか……瀬良さんから見て私なんてお子ちゃまにしか見えないかもだし。