「椛笑、あのさ」

「ん? 何?」


 思わず首を傾げると、いずみくんは何かを決意したように私の目を真っ直ぐ見つめた。


「どうしたの? さっきから変よ?」

「椛笑、すまない! この結婚は白紙にしてほしいんだ」


 いずみくんから出て来たのは衝撃の言葉で、受け入れることが出来ない。
 急にそんなこと言われて、了承する人がどこにいるのだろうか。


「理由を、教えてくれる? 私、何がなんだか」

「……好きな奴がいるんだ! 詳しくは言えないんだが、椛笑とは結婚できない」


 好きな人って……二股してたってこと?

 結婚を約束した私がいたのに?

 詳しく言えないとか、意味わからない!!