放課後、私とめぐみちゃんは一緒に帰っていた。

 いつもと違うのは、そこに会話がないということ……。

 一緒にはいるけど、顔も合わせてくれない。
 どうしようかと考えている矢先、先にめぐみちゃんが口を開いた。
 
「……ねぇ、昼休みのことだけどさ、勘違いしない方がいいよ」

「勘違いって、なにを?」


 めぐみちゃんは目線をこちらに向けもせず、歩き続ける。


「秋成が言ってたことだよ。冗談ばっか言う奴だし、横島くんも困ってたじゃん」


「そうなの……かな。なんか横島くんすごく恥ずかしがってたから、もしかしたら本当なのかなって思っちゃった。いや、そんなはずないんだけどさ。もしそうなら嬉しいなって……」

「……なにそれ? 自慢?」

「そんな、自慢なんかじゃないよ」

「わたしが横島くんのこと好きなのわかってるくせに、そういうのやめてよ」


 ……めぐみちゃんが横島くんを好きでも、今日のことは関係ないはずだ。なんで、私がそんな態度をとられないといけないんだろう。


「私、なにもしてないよ」

「ふーん。自覚ないんだ。もういい、じゃあね」

「ちょ、めぐみちゃん!?」

 私が呼び止めるのも無視して、早足で帰っていく。

 なんでこんなことで喧嘩しなきゃならないんだろう。
 深くため息を吐いても、胸のなかのモヤモヤは残ったままだった。