「福間さんとはホントになんでもないよ。お店の常連さんで、一回福間さんの通ってる美容専門学校に、華と一緒にオープンキャンパスに行かせてもらったくらいで」

「じゃあ、一緒にアイス食べてたあの時もなんにもなかったってこと?」

「えっ?あ、あの時は…」

思い出して、急にしどろもどろになる。

「相崎さ〜ん?」

そんな私を、藤君がジトッとした視線で見てきた。

こうするのってなにが正解なのか、恋愛超初心者の私には全然分かんない。でもすぐ顔に出るし、結局隠しごととか向いてない。

「実は少し前に福間さんに告白されてて…あの日は、それを断ってたんだ」

「…そうなんだ」

藤君、悲しそうな顔してる。

「ごめん、言いづらいこと聞いて」

「ううん、全然そんなこと!」

「俺あの時、凄いヤキモチ妬いたんだ」

藤君はコーラの入ったカップをクルクルと回しながら、目を伏せる。

「こういうのって、重いかな」

「そんなことない!」

全力で否定した後で、ここが店の中だってことを思い出した。

「実は私も、安西さんに妬いてたんだ」

藤君と上手くいってるって言われた時は、今で感じたことないようなモヤモヤが広がって、泣きたい気持ちになった。

「凄いね。恋すると相手を独り占めしたくなるんだって、私初めて知ったよ」

「相崎さん…」

「それに、藤君にそんな風に思ってもらえるのも嬉しい…なんて」

言った後凄い恥ずかしくなったけど、藤君が嬉しそうに笑ってたからホッした。

「じゃあ、あともう一個聞きたいことがあるんだけど」

ニコニコ顔のまま、藤君はそう口にする。

「結構前に焼肉屋で会ったよね?あの時のイケメンは?」

「三苫さん?三苫さんはウチでバイトしてくれてる大学生で」

「仲良さそうだったけど、ホントにそれだけ?」

あれ、どうしてだろう。藤君の笑った顔大好きなのに、今はちょっと怖く感じる。

「や、あ、あの…三苫さんにも少し前に告白されて…」

改めて口にすると、私はとんでもない状況だったらしい。