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次の日の朝、登校するなり華が私の席に飛んできた。

「やったじゃん小夏!」

華には昨日の夜、電話で藤君とのことは報告してある。

これは藤君から聞いて知ったんだけど、私が安西さん達に呼び出されたことを彼に伝えたのは、華らしい。

そのおかげで私は酷い目に遭わなくて済んだし、藤君ともちゃんと気持ちを伝えあえた。

付き合えたことを予想以上に喜んでくれて、ホントにいい友達を持ったなって改めて彼女に感謝した。

「華、昨日はホントにありがとね」
「私はなにもしてないって。ただ藤君に“小夏がシメられてるかも”って言っただけ」
「あ、アハハ…」

あの時は正直、怖いってより負けたくない気持ちの方が強かった。安西さんになにか言っても嫌味にしか聞こえないだろうし、今はそっとしとくしかない。

「いいじゃん、堂々と付き合いなよ。誰を選ぶのかは藤君が決めることで、外野がとやかく言うことじゃないし」

「うん、別に隠したりはしないつもり」

「まぁ、私が居るし大丈夫でしょ」

「華ぁ…ありがとぉ…っ」

彼女の男前っぷりに感動していると、後ろからポンと肩を叩かれた。



「おはよ」

「ふ、藤君!お、おは」

振り返るとそこには、藤君が居て。ビックリするくらいキラキラ輝いてるから、私は思わず自分の目を擦ってしまった。

「おはよー相崎さんに隅田さん!」

「おはよう、江南君」

「朝からうるさいね江南君」

「隅田さんひっど!元気って言ってよ」

江南君はそう言いながら、私と華の間に割り込んでくる。

そんな彼の首根っこを、藤君がガシッと掴んで後ろに引っ張った。

「太一邪魔、一人で行けよ」

「そんなこと言ってさぁ、諒が相崎さんと行きたいだけだろ?」

「それは、まぁ…」

途端にモジモジして恥ずかしそうな藤君を見て、私の心臓は簡単にキュンを追い越した。