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「相崎さんさぁ。いい加減藤君に付きまとうのやめてくれないかな」

今私は体育館裏で、クラスでも目立つ派手系女子の安西(アンザイ)さんにめちゃくちゃガン飛ばされてる。彼女の周りには、他にも数人。どの子も私とは違う、クラスのカースト上位の可愛い子ばっかりだ。

呼び出された時から、なんとなく藤君のことだろうなとは思ってた。

だって、フラグ立ってたから。

ーーあ。それスカートのホックじゃん、ウケる

あの時藤君の隣にくっついてたのが、阿部さんだった。明らかに私のことバカにしたような目で見てたし、あれ完全に呼び出されフラグだよね。

こんなところのフラグ立ってもなんにも嬉しくないけど、なぜかちょっとしみじみしてしまった。

みんな、可愛い子達ばっかり。自分への自身に溢れてる感じするし、脇汗とかかかなそうで羨ましい。

「ねぇちょっと、聞いてる?」

阿部さんはイライラした口調でそう言った。

「あ、ごめん。なんだっけ」

「相崎さん藤君にフラれたんでしょ?それなのに付きまとうって、相手の気持ち考えてないよね」

あれ、私フラれたんだっけ。フラれる予定ではあるけど、それはまだ未来の話だ。

「藤君が優しいからって、付け込むような真似やめてよ」

確かにそれは、安西さんの言う通りかもしれないと思った。私は、彼の優しさに甘えてる。

「今私藤君と良い感じだから、邪魔しないで」

恋する乙女の顔をしてる安西さんを見て、心の中にズンと重いものがのしかかった。