♢♢♢
「小夏ちゃん、可愛いねその格好」
今日は土曜だから、陽子さんは仕事が休み。いつも部活の颯君も珍しくリビングに居て、私に目を向けた後なぜかパッとそっぽを向いた。
「へ、変じゃない?」
無難な服しか持ってなかった私の、最大限頑張った自称オシャレコーデ。
緩めの白い半袖ロンTに、タイトめのブラックデニム。スポーツブランドの黒いボディバッグに、髪の毛は後ろに緩く纏めた。出かける時にベージュのキャップを被って黒のウェッジソールサンダルを履く予定だ。
フリフリのトップスもヒラヒラのスカートも、クローゼットの中には一枚もない。
「お化粧もしてる?」
「ちょっとだけ」
「映えてる、可愛い」
ふんわり笑ってくれる陽子さんに、私もつられて笑顔になった。
「お友達とお出かけ?どこ行くの?」
「水族館だよ」
「いいなぁ、水族館。随分行ってないから久しぶりに行きたいなぁ。ね?颯」
「…俺は、別に」
「颯君は、あんまり興味ない?水族館」
「いや、別にそういう訳じゃ…」
「今度また、皆でどこか行こうね」
「…ん」
颯君は小さく頷いて、テーブルの上に置いてあったコーラのボトルを手に取ると、プシュッとキャップを開けて勢いよく喉に流し込んだ。
「気を付けていってらっしゃい」
「ありがとう」
陽子さんに挨拶した後、玄関でサンダルを履いていると、不意に後ろから声をかけられた。
「颯君、どうしたの?」
まさかわざわざ、見送りに来てくれたとか?
前に二人でお肉を食べてから、颯君はどことなくよそよそしい。でも嫌われてるようにも見えないし、私も普段通りに接してる。
「友達って」
「え?」
「もしかして彼氏…とか?」
「え!」
玄関の壁にもたれかかりながら、言い辛そうにモゴモゴと口にする颯君。私は慌てて否定した。
「違うよ!そんな人いないし!」
「マジ?」
「マジ!」
わざわざ言わせないで!
「ふぅん」
なんだその笑みは。勝ったという勝利の笑みなのか?いや、颯君に彼女いるか知らないけどさ。
「その服似合ってる」
「え?」
「か、可愛い」
あからさまに顔を赤らめた颯君は、まるで女の子みたいにパタパタと部屋へ戻っていく。
なんだったの一体…というか可愛いのは君だから。
「小夏ちゃん、可愛いねその格好」
今日は土曜だから、陽子さんは仕事が休み。いつも部活の颯君も珍しくリビングに居て、私に目を向けた後なぜかパッとそっぽを向いた。
「へ、変じゃない?」
無難な服しか持ってなかった私の、最大限頑張った自称オシャレコーデ。
緩めの白い半袖ロンTに、タイトめのブラックデニム。スポーツブランドの黒いボディバッグに、髪の毛は後ろに緩く纏めた。出かける時にベージュのキャップを被って黒のウェッジソールサンダルを履く予定だ。
フリフリのトップスもヒラヒラのスカートも、クローゼットの中には一枚もない。
「お化粧もしてる?」
「ちょっとだけ」
「映えてる、可愛い」
ふんわり笑ってくれる陽子さんに、私もつられて笑顔になった。
「お友達とお出かけ?どこ行くの?」
「水族館だよ」
「いいなぁ、水族館。随分行ってないから久しぶりに行きたいなぁ。ね?颯」
「…俺は、別に」
「颯君は、あんまり興味ない?水族館」
「いや、別にそういう訳じゃ…」
「今度また、皆でどこか行こうね」
「…ん」
颯君は小さく頷いて、テーブルの上に置いてあったコーラのボトルを手に取ると、プシュッとキャップを開けて勢いよく喉に流し込んだ。
「気を付けていってらっしゃい」
「ありがとう」
陽子さんに挨拶した後、玄関でサンダルを履いていると、不意に後ろから声をかけられた。
「颯君、どうしたの?」
まさかわざわざ、見送りに来てくれたとか?
前に二人でお肉を食べてから、颯君はどことなくよそよそしい。でも嫌われてるようにも見えないし、私も普段通りに接してる。
「友達って」
「え?」
「もしかして彼氏…とか?」
「え!」
玄関の壁にもたれかかりながら、言い辛そうにモゴモゴと口にする颯君。私は慌てて否定した。
「違うよ!そんな人いないし!」
「マジ?」
「マジ!」
わざわざ言わせないで!
「ふぅん」
なんだその笑みは。勝ったという勝利の笑みなのか?いや、颯君に彼女いるか知らないけどさ。
「その服似合ってる」
「え?」
「か、可愛い」
あからさまに顔を赤らめた颯君は、まるで女の子みたいにパタパタと部屋へ戻っていく。
なんだったの一体…というか可愛いのは君だから。