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土曜、今日は華と遊ぶ約束をしてる。期末テストも無事終わって、そのご褒美って感じだ。

「まだ結果出てないのに余裕じゃん小夏」

「過ぎたことに想いを馳せていてもムダなんですよ華さん」

「なんか腹立つな」

「もうテストはいいからさぁ、色々聞いて欲しいことあるんだって」

三苫さんのおかけで、数学も半分以上は点取れそうだしね。

煩悩で頭がいっぱいで正直テスト勉強なんて手につかなかったけど、三苫さんに教えてもらっておいて悲惨な点数だらけじゃさすがに申し訳ない。

裏を返せば、三苫さんが先生じゃなきゃ高校生活史上最低な点オンパレードだったに違いない。

「分かってるって。だからカラオケ行こって言ったじゃん」

藤君のことだけならまだ言わないでおこうかなって思ってたけど、この間の福間さんのことが重なって、もう華に話せずにはいられなくなった。

そう何回も陽子さんに相談するわけにもいかないし、かといって一人じゃキャパオーバー。

というわけで、ただ一人の友達である華を頼る。多分、いや絶対怒られるけど。



「ちょっとアンタ。私に言うの遅いんじゃない?」

カラオケボックスに入り適当に数曲入れた後、華は待ってましたとばかりに私に詰め寄ってきた。

流れ出した流行りの曲は、完全なBGMと化してる。

「ほらやっぱり」

「は?なにがよ」

「怒ると思った」

藤君の件をすぐ言わなかったこと、絶対怒られると思ってた。華とは小学校からの付き合いだから、お互いのことは大体分かる。

「なら隠すんじゃないよ」

「うんごめん」

「私が藤君とくっつけると思ったんでしょ」

「うん」

「大正解」

「おい」

華は足組みしながら注文したアイスティーを一口飲むと、グッと私に顔を近付けた。




「どうせ、イケメンだからヤダとか思ったんでしょ」

「その通りです」

「超贅沢」

「分かってる」

「小夏らしいね。私ならそんなラッキー逃さないのに」

「華は派手で美人だからいいじゃん」

「派手は余計ね」

「まぁ藤君のことは、つり合わないとか分不相応とかいうマイナス感情は抜きにして、一応ちゃんと考えてくつもり」

「ふぅん。で?その福間さんとかいうヤンキーのことは?」

「ヤンキーじゃないよ」

「アンタが言ったんじゃん」

「そうだっけ」

華がふうっと溜息を吐く。