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「おー、いいじゃん大学生とおベンキョ。恋始まるんじゃない?」

次の日の夜、家のそばのコンビニに向かう途中、華に電話をかけた。

テレビでスイーツ特集見てたら食べたくなっちゃって、昨日バイト頑張ったし今日くらいいっかと甘いものを買いにきたのだ。

「大学生だよ?無理無理」

「まーたアンタはそうやって」

「いやそもそもさ、イケメンとは無理なんだって。顔面偏差値高いと、それだけで恋愛フラグ立てる対象外だから私」

「じゃあ何で勉強教えてもらうことになったのよ」

「教えるよって言ってくれたからだよ。キッパリ断るのも悪いし、私もありがたいしさ」

「恋愛に発展するの期待して、フラグ立てようとしたんじゃなくて?」

「だから、あり得ないって。向こうが私なんかお断りでしょ」

電話の向こうで、華が盛大に溜息を吐いたのが分かる。大き過ぎて、こっちにまで息がかかってきそうだ。

「ホント小夏ってよく分かんないよね。自信家なのか卑屈なのか。彼氏作る気ないでしょ?」

「あるある、大アリ。ただ身分を弁えてるだけだから、私は」

「身分て」

「話逸れたけど、そういうわけだからね」

「いや、どういうわけよ」

「今回のテストは頑張るから、華も一緒に頑張ろうね」

「何それ」

「誰かに宣言しとかないと挫折しそうだからさ」

「もう、小夏は」

今度は豪快に笑うから、私もつられて笑った。