フラグを全力で育てる系女子の恋愛事情〜なぜか溺愛されてますが〜

「いっ、今それは反則じゃない…?」

暗がりでもわかるくらい、藤君の顔が赤い。口元に手を当てて視線をキョロキョロさせてる彼に、キュンとする。

「小夏ちゃん」

染まったままの彼の顔が、ゆっくり近づいてくる。

「俺も、好き…」

そのまま私は、目を閉じる。遠慮がちに私に触れた藤君の唇は熱くて、泣きそうなくらいにドキドキする。

でも、嫌じゃない。

藤君とのはじめてのキスを、私はきっと一生忘れないと思った。

「小夏ちゃん」

甘い声で私の名前を呼びながら、藤君が自分のおでこをこつんと私のそれにくっつける。

「照れるけど嬉しいね」

「ふふっ、うん」

「彼氏特権って凄い」

真面目な顔してそんなこと言うから、ちょっと笑ってしまった。

「これからも、末永くよろしくお願いします」
「はい、こちらこそ」

お互いに赤い頬っぺたのまま、私達はもう一度キスを交わした。



ずっと憧れてた、恋をして恋をされること。現実はマンガみたいに、順序よく上手くいくことなんてなくて。

ああすればよかった、こういえばよかったって、たくさん後悔もした。

楽しいだけじゃない、胸の痛みも。

全部、恋をして知ったこと。

「そういえば」

藤君が、唐突に口を開く。

「ラーメンおいしかった」

「それ今言うこと?」

「アハハッ」

目の前で笑う藤君を見ながら、思う。

これからもずっと、私が一番近くにいたいって。

大好きだよ、藤君。