フラグを全力で育てる系女子の恋愛事情〜なぜか溺愛されてますが〜

「えらいイケメンじゃねぇか!小夏でかした!」

「もう、声うるさいよ…」

お父さんは、彼氏ができたからって反対するようなタイプじゃない。でもこうやって茶化してくるのは、ちょっと面倒くさい。

「カウンター座れ、ほら!なぁ藤君、なんでも好きなもん食ってくれよ」

「ありがとうございます」

ニコッと笑う藤君は、さすが人当たりがいい。

「こんにちは、小夏ちゃん」

「三苫さん。お疲れ様です」

私達の前に、コトッとお冷やが置かれる。

三苫さんも藤君に負けず劣らず、爽やかな笑顔を浮かべていた。

「もしかして前に言ってた好きな人?」

少しだけ私に顔を近づけて、三苫さんが小さな声で言う。恥ずかしくて、コクンと頷くだけしかできなかった。

「よかったね、小夏ちゃん」

「ありがとうございます」

なんて良い人なんだって、ちょっと感動すらしてしまった。

ガラッ

「ちーす。あれ、小夏じゃん」

「福間さん」

休日だというのに相変わらず大きな黒いバッグを肩にかけた彼が、慣れた仕草で店に入ってきた。

「お、男と一緒じゃん」

福間さんは自然に私の隣のカウンターに腰掛ける。

「こんにちは、福間さん」

「俺のこと知ってんの?」

「小夏ちゃんから聞きました」

「もしかして付き合ってんの?やったじゃん小夏」

福間さんが豪快に笑いながら、私の背中をバシバシ叩いた。

「あ、ありがとうございます」

福間さんも私のこと応援してくれてたから、感謝しないと。こうして変わらず、お店にもしょっちゅう来てくれるし。

ガラッ

「おっ、来たか」

「あれ、颯君」

なんか今日、やたらとイケメン達が集合してる。いつもはオジサンばっかりなのに。