私、相崎(アイサキ)小夏(コナツ)は十五歳の高校一年生。

物心つく前から父子家庭だけど別に不自由はしてない。勉強はそんなに得意じゃないけど、学校は好きだし。バイトしてるから部活は入ってないけど、美化委員で花壇の手入れとかするのも面白いから好き。

顔面偏差値普通、優しさレベルも普通、クラス内カーストもそれなり。因みに人生に三回あるというモテ期のうち二回は、既に訪れた自覚あり。確か五歳と、九歳だった。

小さい頃は、自分で言うのもなんだけど可愛かった。写真に写る私は、お目目くりくりで色素薄くて、茶色っぽい髪は細くてキラキラで。肌は白くて頬っぺたはほんのりピンク色。男の子からいつも遊ぼうって言われてた気がする。

九歳の時は、確か足が早かった。小さい頃のくりくりお目目はどこかに消えたけど、活発な性格だったから同じく活発な男子から良く話しかけられた。好きって言われたこともあるけど、恋愛と友情の違いとか良く分かんなくて「私も好きだよ」って返して終わった。

高校に入って、新しい友達もできて家の手伝いも始めて、毎日の高校生活だって中学とは雰囲気も違うし制服も可愛い。初めは慣れるのに精一杯だったけど、段々と毎日が楽しくなった。

そんな中で、友達に彼氏ができはじめた。

最初は、友達に彼氏ができたってそれだけで自分自身までドキドキした。付き合うまでのちょっと焦れったいやり取りや、付き合ってからの初々しいエピソード。

そんな話を聞いてるだけでキュンキュンして、幸せそうな笑顔に私まで胸がほんわかした。

だけど段々、胸に広がってく気持ち。妬んだり、いじけたり、そんなのじゃないんだけどなんていうかな、やっぱり羨ましいって。

今まで遠巻きにイケメンの先輩にキャーキャー言ったり、電車で見かけたシュッとしたサラリーマンを盗み見したり。

そんな一方的で漠然としたのじゃなくて、自分が相手を好きになって、相手も私を好きになる。

思いが通じ合って、今まで関係なかった間柄がグッと近くなる。

胸が苦しくなったり、泣きたくなったり、それでも一緒にいるだけで幸せで。

家族とも友達とも違う、特別な関係の男の子。

そんな存在が私にも居たらいいなって、彼氏がいるって毎日どんな感じだろうって、毎日考えるようになっていった。