「あっそ、まぁいいや。俺も兄貴の彼女奪おうだなんて思ってねーし」

「はぁ」

「君もめちゃくちゃ兄貴のこと好きみたいだし、そういう略奪愛的なものはしたくないから……じゃあ、俺は帰るわ」


 先輩は立ち上がって玄関まで歩き出したが「あっ、そうだ」と言い振り向いた。


「なんか困ったこととか兄貴にも言いづらいことあったら、言いな。まぁ、兄貴なら心配いらねーと思うけど」


 そう言って先輩は帰って行った。そういえば、先輩って女嫌いじゃなかったっけ……? あれ、違うのかな?

 そんなことを考えていれば、キッチンから吏都くんが戻ってきた。