「そろそろ、帰ろっか。真人が心配する」
「うん、そうだね」
少し名残惜しいけど、お兄ちゃんに怒られるのは嫌だ。あの人、怒ると怖いんだもん……でも、吏都くんだしそんなには怒らないと思う。
吏都くんは私の手を握ると「行こ」と言って駐車場へと方向を変えて歩き出した。
少し暗くなってきた十七時半ごろ、私と吏都くんは地元に帰ってきた。もうすぐ自分の家なのに、着いてほしくないなって思ってしまう。
「――はい、到着」
家から少し歩いたとこにある両親が契約している駐車場に車を停めた吏都くんはエンジンを切った。
「あ、ありがとうございました」
はぁ〜着いちゃった。もう、今日は一緒にいられないと思うとすごく寂しい。
「……どうしたの? 大丈夫?」
「えっと……か、帰りたくないな、と思ってしまって」
あああ! 言ってしまった!
めちゃくちゃワガママだ、私……



