車から降りて玄関を開けた。いつも変わらぬ静かさ。


「ただいまー」

「お邪魔しまーす」


 吏都くんはいつも出入りしてるから遠慮はなく私と二人家の中に入った。玄関から続く廊下を歩いてリビングに入ると、お兄ちゃんが寛いでいた。


「おー二人共、お帰り〜」


 お兄ちゃんは呑気にテレビを見てソファで寝転んでいる。うん、通常運転だ。


「あ、吏都。借りた本とレポートテーブルにある」

「……そう」

「ありがとね、ちゃんと出来たわ」


 テーブルに置いてあるものを吏都くんはカバンに入れると「俺、もう帰るから」とお兄ちゃんに言った。