休日の朝。リビングで私、白崎悠真は朝ご飯を待っていた。キッチンからはジューっと香ばしく焼く音が聞こえる。
「はい、ゆま〜! お待たせ」
「お兄ちゃん。ありがとう、美味しそう」
目の前に置かれたのはお兄ちゃん特製のフレンチトーストだ。
「いただきまーす」
もうすでに用意してあるフォークとナイフを持つと一口サイズに切って口に入れる。するとバニラの甘い香りと甘いはちみつ、卵の濃厚な感じが口いっぱいに広がる。
「どう? 美味しいか?」
「うん。とっても。お兄ちゃんのフレンチトーストは世界一だよ」
私は、二歳上のお兄ちゃんと一緒に暮らしている。昔は、ごく普通の一般家庭だったが私が高校生になったのを機に仕事復帰をした。それで両親ともに海外に行ってしまったため、一年前から二人暮らしをしている。
大学生のお兄ちゃんはレストランで働いていて賄いで食べたものを再現するのが好き。このフレンチトーストもその中の一つだ。