「今回みなさんを呼び出したのはこれを渡すためです」
 そう言って机の上に置いたのはつるつるとした緑色が美しい孔雀石だった。石の中には六芒星の模様が入っている。

「これは守護石といって離れ棟の守護陣と同じように悪い物を寄せ付けない力があります。教会の保管室を探してみたら見つかったので、みなさんにそれぞれ渡しておきます。これがあればもしもの時に身を守れますよ」
 次にヘイリーは半透明のつるつるとした月長石を机の上に置くと、「それから」と付け加えた。

「守護石ともう一つ、加護石も見つかったのであとでアシュトラン殿にお渡しするつもりです」
 リズはすかさず手を挙げた。

「司教様、守護石と加護石は何が違うのですか?」
「良い質問ですね。守護石が悪いものから身を守る石であるのに対し、加護石は呪いを受けてしまった人の呪いの悪化を防ぎ、緩和させる力を持っています。両方とも濃厚な聖力が込められています。これがあればアシュトラン殿も自由に外を歩くことができるでしょう。とはいえ、一般の信者が礼拝に来るので安全面を考慮して、動ける範囲は修道院と離れ棟に限定させていただきますが」

 加護石があれば、クロウは自由に歩き回ることができる。離れ棟から出て、日の光を浴びられる。閉じこもっているよりもそちらの方がストレスも溜まらず良さそうだ。
 明るい希望を持つことができて、リズの顔がぱっと輝いた。