むうっと頬を膨らませるものの、自分が今幼くなっていることを思い出す。
(そうです。このお兄さんからすれば私は小さな女の子……)

 ハッと我に返って視線を泳がせ、もじもじしていると、クロウが頭の上にぽんと手を置いた。
「そうだな、もう君はお姉さんだ。俺が悪かった。だけど、君一人でこれからどうするんだ? 出口も分からないだろう。それに旅は道連れ世は情けって言うじゃないか。あ、言ってることが難しいか? 俺はね、ここからかなり遠い場所で聖騎士をしている。一人で帰るのは寂しいから一緒に帰ってくれると嬉しい」
「かなり遠い場所?」

 ということは、田舎にある聖騎士団。第三部隊シルヴァか第四部隊ゲノモスのどちらかになる。
 しかし、聖騎士がどうしてたった一人で樹海にいるのだろう。普通こういった場所では数人と共に行動するものではないのだろうか。