それから視線を逸らすと小さく頷く。
(嗚呼、遂にクロウさんにも真実を打ち明ける時が来たようです……)
 リズはゆっくり息を吐いてから口を開いた。

「ずっと、騙していてごめんなさい。司教様たちにも先日お話したのですけど、本当は十七歳なんです。妖精女王様が叔母様から私を救うために、身体を小さくしてくださいました。妖精さんたちの話によると私は元の身体には戻れません。戻るには時に従って成長するのみです」
 リズが本当のことを打ち明けるとクロウが額に手を当てて俯く。

 騙す形になっていたことに関して、リズはずっと後ろめたい気持ちがあった。ヘイリーたちに事情を説明して謝罪すると彼らは驚きつつも最後は納得して受け入れてくれた。
 実年齢が分かったのに、三人ともこれまでどおりリズを小さい女の子として可愛がってくれている。

 しかし、目の前にいるクロウの反応からは何を思っているのかまったく感情が読み取れない。やはり幻滅されてしまったのだろうか。
 痺れを切らしたリズが顔を覗き込むと、クロウの顔が赤く染まっている。
「おにい、さん?」

 目が合うと、クロウはふうっと溜め息を吐いてからまだ真っ赤になっている顔を上げた。

「……俺の方こそすまないことをしたと思っている。俺が取った行動の中で、嫌な気持ちになったことがあるなら、気が済むまでそこにあるめん棒で殴ってくれても構わない」
「ふえ? ちょっ、ちょっと待ってください」

 頻りにめん棒を握らせようとしてくるクロウにリズはギョッとして首を横に振る。