リズはめん棒で伸ばした生地を丸い型に収めて不要な部分はナイフでカットした。

「型にはめたタルト生地をピケして……」
 フォークで生地に穴を開けていると裏勝手口の扉が開き、アスランが元気よく中に入ってくる。

『リズー! ただいまー!!』
「お帰りなさい、アスラン!」
 リズは作業の手を止めてアスランに駆け寄ると、彼に抱きついた。

 ここ数日、クロウとアスランは要塞で仕事をしていたので数日ぶりの顔合わせだ。相変わらずふわふわな毛並みからはお日様の良い匂いがする。

『リズはいつも甘い匂いがするね』
「えへへ。それならアスランの毛並みはいつもお日様の匂いがします。そして相変わらず最高です。私はアスランが大好きです!」
『へへー。僕もリズが大好き。優しいし、ご飯も美味しいもん』
「ふふ。そんなに褒められると照れてしまいます」

 アスランと戯れていると、暫く経ってからか浮かない顔したクロウが厨房に入ってくる。


「あっ、お兄さん、お帰りなさい。どうしたのですか? お顔が真っ赤ですよ?」
 尋ねるとクロウは声に反応して、大股で歩いてくるとリズの肩を掴んだ。

「リズ、さっき知ったんだが、君の本当の年齢は十七なのか?」
 尋ねられたリズは目を見開いて息を呑んだ。