クロウはウィリアムの話に静かに耳を傾ける。
 しかし、話の全容が分かった途端、クロウは目を見張ると口をぱくぱくさせて絶句した。
「――というわけで、あとはよろしく頼んだよ」
「えっ、いや陛下それはどういうことですか!? って、通信を一方的に切らないでください!!」
 クロウの顔はみるみるうちに赤くなっていく。

 ドロテアの姪であるリズは元々十七歳で、ドロテアのために美味しいご飯を作っていたということをウィリアムから告げられる。それを聞いてクロウの脳裏に真っ先に浮かんだのは教会本部で出会ったリズそっくりの少女。

(そんな、まさか……リズは教会本部で俺に洋梨のタルトをくれたあの子なのか!?)
 となると、リズはクロウよりも二つ年下の少女になる。
(出会った頃から、リズを小さな女の子として接していた。抱っこしたり、口に付いたご飯を食べたり……これは普通にセクハラ案件じゃないか?)

 クロウは顔を手で覆うと暫くの間、自身の行いを深く反省した。