「……それが報告を受けていたとおり、ほとんどの方が重度を表す紫色の痣が全身に現れているので、早く対処しないと手遅れになってしまいます。あと、必要な薬草をお持ちしました」
 メライアは解毒薬のもととなる薬草の束をヘイリーに手渡す。
 ヘイリーはありがたく受け取ると、病室に入って患者の様子を確認する。メライアの言うとおり、騎士たちの腕や脚、顔といったあらゆるところに紫色の痣が浮き出ていて、毒の恐ろしさを痛感する。
 痛々しい姿を目の当たりにしたリズは辛くなった。

(もう大丈夫ですよ。司教様が解毒薬を作ってくださいますので、あと少し辛抱すれば身体が楽になりますから)
 祈るようにして手を組むリズは、心の中で患者たちに語りかける。
 すると、眉間に皺を寄せたヘイリーが深刻そうな表情を浮かべてさっと病室を出た。
 メライアとリズは顔を見合わせると慌ててヘイリーの後を追いかける。