クロウはリズの願いが聞き入れられたのを見届けると、リズの頭から手を離す。


「何もできないのがもどかしいですが、俺は俺のできることをします」
 クロウはそう言ってポケットから加護石を取り出してそれを握り締める。
 彼が言う自分にできることとは呪いを悪化させないよう、大人しく離れ棟にいるということのようだ。

 その様子を見たリズは苦しくなって拳を握り締める。自分が同じ状況だったらきっとこの状況に憤っていただろう。大切な仲間が重症なのに自分は側に行くことも助けることもできないのだから。

「教会本部の使者が要塞に到着したら、必ずアシュトラン殿の呪いも解いてもらうようここに連れてきます。もう少しだけ我慢してください」
 クロウはヘイリーの言葉を聞いて頷くと身を翻して司教室から出て行った。