「その……本当に勘違いをして申し訳ない。アスランが妖精獣だと露知らず……」
「アシュトラン殿が知らないのも無理ありません。妖精獣は教会でも伝説なので私たちも見るのは初めてです」
穴があったら入りたいと叫ぶクロウにヘイリーが大丈夫だとフォローを入れる。
クロウがアスランを妖精獣ではなく魔物と勘違いしていた理由は、アスランの見た目だった。魔物はオオカミやクマといった肉食獣の姿に似たものが多いのが特徴だ。そのため、ライオンの姿をしているアスランを見て魔物だと判断してしまったらしい。さらに額には青色ではあるが魔物と同じような核があるのでそれも勘違いした要因の一つだ。
ただ、アスランからは魔物から感じる邪気や人間に対する悪意を感じることはなかった。よって、クロウは突然変異で生まれた善い魔物だと思い込んでいたようだ。
「お兄さん、日が沈んでしまう前に一緒にご飯を食べましょう。早くしないと料理も冷めてしまいます」
隣に座るリズがぽんと彼の膝を叩いてご飯を食べるように促す。
「そ、そうだな」
クロウは小さく咳払いをすると、みんなと一緒に感謝の祈りを捧げてから目の前の皿に視線を落とす。
手前に置いてあるフォークを手にすると、まずはビーツのポテトサラダを一口食べた。
その途端、先程まで羞恥心でいっぱいだったクロウの表情が一瞬で幸福に包まれる。
「……なんだろう。ただのマッシュポテトのはずなのに凄くクリーミーで美味しい」
「本当だわ。私が作っていたマッシュポテトと味も舌触りも別物ね。寧ろ違う料理としか思えない!」
クロウとメライアがビーツのポテトサラダを絶賛するのでヘイリーとケイルズも食べ始める。二人とも口にした瞬間に目を見開いて驚いていた。
リズはみんなの驚く反応が楽しくてにこにこと笑顔を浮かべる。



