「このビーツのマッシュポテトはとってもお気に入りなのです。普段おかわりしない叔母様もおかわりしてくださいました。だからきっと、ここのみなさんも気に入ってくださるはず」
 ふふっと鼻歌を歌いながらリズはビーツのマッシュポテトを皿に盛り付けていく。

「あとはソーセージとキャベツの白ワイン蒸しを盛り付けるだけですね。……丁度、パセリがハーブ畑にできていたのであれを散らしましょう」
 メライアに教えてもらうまで知らなかったのだが、厨房の裏勝手口を出てすぐの場所には小さなハーブ畑がある。そこにはバジルやパセリ、ローズマリーが自生していて好きに使っていいと言われた。

 鋏を手に持ったリズはハーブ畑に生えているパセリを取りに行く。パセリは葉の緑色が鮮やかで、みずみずしいものが食べ頃だ。
(今日はみなさん、どんな反応をしてくれるのでしょう。どうか喜んでくれますように)
 美味しそうに食べるみんなの姿を見るだけで、リズは明日も美味しいご飯を作ろうという気力が湧いてくる。

 リズが適当に鋏でパセリを摘んでいると、厨房から雄叫びのような叫び声が聞こえてきた。