青色の核に翼の生えた獅子。これは突然変異の動物と判断するべきだろうか。
 答えが出ずに考えあぐねていると、アクアがアスランの正体を明かしてくれた。

『もったいぶらずに結論から言うの。アスランはまだ子供だけど妖精界の中でも位の高い風の妖精獣なの』
 妖精界にはいろいろな種類の妖精がいる。
 水の妖精、風の妖精、火の妖精といった自然を司る妖精。それと同様に自然を司る妖精獣がいて、その他に妖精女王を世話する妖精や妖精獣がいる。
 妖精と違って妖精獣は滅多にこちらの世界には現れないので大変貴重な存在かつ出会えたら奇跡だと言われている。

 リズは聖学で妖精獣については習っていたが、詳しい見た目の記載はされていなかったし、見るのも初めてだった。クロウが魔物と言っていたので、てっきりそうなのだと思い込んでしまっていた。
「アスランは妖精獣だったのですね。それなら、一緒に教会へ帰ってもきっと大丈夫ですね」
 一緒に帰っても良いと分かったアスランは尻尾を元気よく振って笑顔になった。それが可愛らしくてリズは彼の顎下を優しく撫でる。

「でも、どうして妖精獣がこちらの世界に来たのでしょう?」
『妖精獣は女王様の命令がない限り、こっちの世界には来ない。だからアスランは女王様に何かを命じられたんだと思う』
「ふうん? だけど、それが何なのかは分からないですね」