君の甘さには敵わない。

「おいでナナちゃん!僕の部屋涼しいからリラックス出来るよ!」


その太陽みたいな笑顔は眩しくて、その美しさに魅入られた私はこくりと頷く。


…というより、この男達にかかると私はそもそも拒否権なんて与えられないらしい。


千晶さんにエスコートされながらリビングを出て行こうとした時、


「後で覚えてろよ千晶」


と吐き捨てる颯さんの真っ黒な声が聞こえ、その嫉妬深さに全身に鳥肌が立った。



 
「お邪魔します…わお、」


何処か女っぽさも否めなくて、気軽に話せる友のような存在でもある千晶さんの部屋は、シンプルに白と黒とピンクで統一されていた。


初めて千晶さんの部屋に入るから、どうしたらいいか分からなくてドアの前で突っ立っていると、


「何してるの、こっちおいで?ベッド座っていいよ」


天使のように可愛らしい顔をこちらに向けた千晶さんは、ふわりと笑って自身のベッドを指さした。

 
「ありがとうございます」


千晶さんのベッドは想像以上にふかふかしていて、傍に置かれているハート型のクッションなんて私の好みそのものだ。


(千晶さん、めちゃくちゃ可愛いんですけど…)


さすがジェンダーレス男子、私と“可愛いもの”における趣味が合うなんて。