「あー、やばかったですね…!まさか彼女さんが病気治るなんて…幸せ過ぎて感動が止まらないです、!」
それからまた1時間後、ポップコーンを食べる手を1度も止めずに映画を見終えた私は、ソファーに深く深く沈み込みながら感想を漏らした。
彼女さんの病気が治る事を信じて疑わず、意識不明でも毎日病室に通ってキスをしたり手を握ったり、献身的に面倒を見てきた彼氏さん。
朝樹も、私が病気になったらこんな事してくれるのかな…、なんて、完全に映画に影響された私がそんな事を想像していると。
「…俺なら、この主人公の何倍も七瀬を幸せにする」
不意に自分の肩に腕が回されたと思ったら、そのまま身体を引き寄せられた。
「え!?」
自分の身体に触れた颯さんの胸は、秒針が進む何倍もの速さで鼓動を繰り返していて。
(今、何が、…)
この状況がどうなっているのか、彼に何を言われたのかを完全に理解するまでに数秒を要した。
「え、…!?」
そして、ようやく颯さんの紡いだ言葉の意味が分かった私は、瞬く間に自分の耳たぶが熱を持ち始めたのを感じて。
(今のって告白…、)
大学で一匹狼だったくせに、颯さんはいつの間にこんな言葉を覚えたんだ。



