2人の兄と朝樹の関係性は悪化し、最悪の場合は残り1ヶ月弱を地獄の環境で過ごす事を余儀なくされる可能性も否めない。


その事実に気がついてしまった私達は、彼らに気付かれることなく夜な夜な協議を重ね、“自分達の関係は秘密にしよう”という結論に達した。


そこに私達の関係を唯一知っている瑛人も乱入してきたものだから、口止めするのも一苦労だったけれど。



それでも、何とか朝樹との本当の関係を心の奥底にしまい込んだ私は日々楽しく生活をしていて、



毎日のように、容姿端麗な男達から言い寄られている。










「ほら、ティッシュ」


「あ、ありがとうございますっ…」


双子の兄妹がリビングを出て行ってから僅か1時間弱。


“七瀬を巡る戦い”に勝利した颯さんに捕まった私は、彼と一緒にリビングでキャラメルポップコーンを片手に恋愛ものの感動映画を観ていた。


この映画をチョイスしたのは私だけれど、その内容があまりにも感動するものだったから涙が止まらない。


画面の中では、病室で寝たきりの彼女の頬に彼氏が何度もキスをしていて、そのシーンには台詞も何もないからこそ無性に胸が熱くなる。


「ちょ、涙が、…」


隣から、画面ではなくてグズグズと鼻を啜ってポップコーンを口に入れる私の方に熱い視線を感じた。