君の甘さには敵わない。








そんなこんなで、夕飯に私お手製のカレーを食べている間にも男子達の言い争いはヒートアップするばかり。


私を独り占めしようと火花を散らす金井家の長男と次男、そこに何食わぬ顔で参戦して2人から睨まれる瑛人、


言いたい事は溜まっているはずなのに、何とか理性を保ち続ながらカレーをかき込む朝樹と、美味しい、等と平和に感想を言い合う双子の兄妹。



「あさ、……いや何でもない、カレー美味しいなあ」


朝樹の名前を呼びかけたものの、何しろ他の男の目が怖過ぎてたまったものではない。


本当は朝樹と2人きりで心ゆくまで話したい気持ちを必死で押さえた私は、


「今日のナナちゃん凄く可愛いでしょう?僕がメイクやってあげたんだからね」


「七瀬は化粧してもしなくても可愛いわ、目に入れても痛くねぇよ」


と、私を褒めちぎる千晶さんと途中から何故か親目線で語り始めた颯さんを交互に見つめ、


「あはは、ありがとうございます…」


と、彼らの気分を損ねないように、頭を掻きながら照れ笑いを浮かべた。





そんな私の事をじっと見つめる朝樹の目が、やたらと胸に刺さった。