そう心の中で思った、次の瞬間……


 今までフワフワと軽かった体が、重く感じるようになった。

 でも、視界は暗闇のまま……


 自分が目を閉じてるからだと認識して、ゆっくりと瞼を開く。

 涙で霞む視界、何度か瞬きをすると周囲が見えてきた。


 目の前に、大好きな彼の顔がある。



 どうやら、幽体離脱から解放されて、もとの体に私の魂が戻ったみたい。

 一ヶ月以上も意識無く眠っていたので、体が動かない。

 私と視線を合わせる彼も、驚いて目を丸くしていた。


 頭の打ち所が悪くて、意識不明のまま病院に運ばれた私。

 体は完治したけど、意識だけが戻らないと医者も頭を傾げていた。



 このまま、一生寝たきりの可能性もある。

 そんなふうに、お医者様から言われてたので目を覚ますなんて嘘みたい。

 彼も同じようなことを、両親から聞かされていたはず。



 でも、奇跡はおきた……