剣と涙〜悲しみの連鎖を断ち切って〜

「葉月、ありがとう……。妖のみんなも、ありがとう……」

「お前が無事なら、まあよかった……」

沙月と葉月は互いに顔を赤く染め、それを見て妖たちはニヤニヤしている。すると、朧が「誰かスマホ落としてない?」と言った。フローリングに黒いカバーのついたスマホが落ちている。

「沙月か葉月のだろ?俺らにスマホなんていらねぇし。ゲームとかは楽しそうだけど」

ひとめがそう言うと、嵐猫がすぐに「いや、あれは二人のスマホじゃないよ」と否定する。嵐猫の言葉に沙月と葉月も頷いた。二人のスマホはそれぞれの自室に置いてある。そして、黒いカバーのスマホは沙月の家族のものでもない。

「ああ、これは私のだよ〜」

イテテ、と殴られた頬を押さえながらスーがニコリと笑う。全員の視線がスーに集まった。

「いやぁ、最新のトレンドを知るならスマホは必要でしょ!」

「いや、神にトレンドとかいらなくねぇだろ」

「変な服着てるしな」

葉月と火影に否定され、さらにひとめに「ダサダサじゃん!」と言われてスーは「酷いわ!」と両手で顔を覆う。だが、数秒後には沙月の目の前に移動しており、その両手を包んでいた。