シャワーで汗を流し、浴衣を袖を通した後、沙月は喉の渇きを潤すためにリビングへと向かう。リビングでは、他の妖たちが思い思いに過ごしていた。

二ノ宮金次郎は椅子に座って難しそうな本を読み、一つ目小僧のひとめは紙に絵を描いている。嵐猫は強い日差しが照っているというのに窓際で日向ぼっこをし、朧はソファでうたた寝をしていた。

「沙月、その浴衣すごく綺麗!似合ってる!」

「おお〜!何かよくわからんけどすごい!」

沙月が冷えた麦茶を飲んでいると、水月が目を輝せながら走ってくる。その後に彼女の双子の兄である火影が現れ、誉めているのか微妙にわからないコメントを言った。

「ありがとう、二人とも。お雪に貰ったんだ」

沙月は二人を抱き締めた後、春太郎と幸子と一緒に遊ばないか聞いてみようと考える。遊ぶ人数が多いほど、きっと楽しいに違いない。

そう思い沙月が口を開きかけた時、背後から急に何者かに抱き締められる。

「沙月ちゃ〜ん!その浴衣、すごく似合ってるよ。それって絞りの浴衣だよね?可愛い沙月ちゃんが大人っぽくなって、もう最高!私と結婚してくれたら、いっぱい買ってあげる!」