家のあった場所に廃材で小さな掘立て小屋を造り、病院と薬局のあった場所は未だ土地は持ちながらも焼け出された市民の仮住まいのための土地として開放した。そこには入院患者の家族や五月末の空襲の日に当直だった看護婦らの姿もある。
陽の光が燦々と降り注ぎ頭上高く広がる空の下、高辻家の五人は焼け残った病院から分けてもらった包帯や薬を手に、バラックの集まった地域を回り始めた。
「具合は悪くありませんか」
「怪我はありませんか」
絶望の中にも、茹だるような熱さの中にも、薬剤師として一軒ずつ家を回り、また一人ずつ声を掛けて手当にあたる志津の表情は、復興に向かう首都を照らすような明るいものに見える。
戦争は終わった。焦土からの復旧が始まっている。
陽の光が燦々と降り注ぎ頭上高く広がる空の下、高辻家の五人は焼け残った病院から分けてもらった包帯や薬を手に、バラックの集まった地域を回り始めた。
「具合は悪くありませんか」
「怪我はありませんか」
絶望の中にも、茹だるような熱さの中にも、薬剤師として一軒ずつ家を回り、また一人ずつ声を掛けて手当にあたる志津の表情は、復興に向かう首都を照らすような明るいものに見える。
戦争は終わった。焦土からの復旧が始まっている。



