長津は表情を一切崩さなかったが、幸枝の確固たる意志を汲み取ったか、心の内では驚きを覚えていた。
「それだけの信念があってこの仕事をしていたとは。我が軍は君を得て正解でしたね」
得意な顔をして見せた幸枝であったが、即座に頭の中に一つの質問が浮かび上がった。
「私も長津様にお伺いしたいことがございます」
「はあ」
腕を組み替えた長津は興味深いといった素振りを見せる。
「何故、貴方はこのようにして私とお話ししてくださるのですか……以前お会いした方々は、何方も私の話なんてまるで関心のない御様子でした。軍のかたで、貴方のような礼儀のある、謙虚な方には初めてお会いしましたよ」
長津は数秒考え込んでいたが、準備は整ったという様子でその場に座り直した。
「相手について知るためには、まず会話をすることが必須──伊坂さんの話し方からして、どんな人間が貴女の元にやってきたかは大方予想が付きます、所謂武官の典型──鷹揚に振る舞っているように見せながらも口数が少なく、周囲を常に警戒し、その態度の端々に身勝手さが出ている──そんなところだろうと。彼らに代わって無礼を謝ります」
釈明が始まる。
「我が軍に協力していただいている貴女には、我が軍に対して悪い印象は抱いていただきたくはない。そのためにも説明させてもらいます。先ず我々海軍武官の多くは苛烈な学歴社会の中で育ってきました。軍学校の中でも位置付けがなされ、出身で出世の全てが決められる、そんな世界です。学校を出ると軍隊で厳しい教練を受け、士官となった今も上下関係に揉まれ続ける──これが軍人の生活なのです。此処からは私の個人的な考えですが、青年期の多くを勉学と教練に費やした我々は社会との上手い付き合い方を知らない──そして、学歴社会に揉まれ生きてきた彼らは時に全く無関係の他人を見下すのではないかと思います。彼らにとってそれは通常の振舞いですが、側から見ると大変失礼な振る舞いに見えるのです」
「それだけの信念があってこの仕事をしていたとは。我が軍は君を得て正解でしたね」
得意な顔をして見せた幸枝であったが、即座に頭の中に一つの質問が浮かび上がった。
「私も長津様にお伺いしたいことがございます」
「はあ」
腕を組み替えた長津は興味深いといった素振りを見せる。
「何故、貴方はこのようにして私とお話ししてくださるのですか……以前お会いした方々は、何方も私の話なんてまるで関心のない御様子でした。軍のかたで、貴方のような礼儀のある、謙虚な方には初めてお会いしましたよ」
長津は数秒考え込んでいたが、準備は整ったという様子でその場に座り直した。
「相手について知るためには、まず会話をすることが必須──伊坂さんの話し方からして、どんな人間が貴女の元にやってきたかは大方予想が付きます、所謂武官の典型──鷹揚に振る舞っているように見せながらも口数が少なく、周囲を常に警戒し、その態度の端々に身勝手さが出ている──そんなところだろうと。彼らに代わって無礼を謝ります」
釈明が始まる。
「我が軍に協力していただいている貴女には、我が軍に対して悪い印象は抱いていただきたくはない。そのためにも説明させてもらいます。先ず我々海軍武官の多くは苛烈な学歴社会の中で育ってきました。軍学校の中でも位置付けがなされ、出身で出世の全てが決められる、そんな世界です。学校を出ると軍隊で厳しい教練を受け、士官となった今も上下関係に揉まれ続ける──これが軍人の生活なのです。此処からは私の個人的な考えですが、青年期の多くを勉学と教練に費やした我々は社会との上手い付き合い方を知らない──そして、学歴社会に揉まれ生きてきた彼らは時に全く無関係の他人を見下すのではないかと思います。彼らにとってそれは通常の振舞いですが、側から見ると大変失礼な振る舞いに見えるのです」



