そこで口を止めた清士は、一度続けて話すか躊躇った様子であったが、
「久々に会った知り合いの家の娘が急成長していたり、その娘が妙に接近してきたり」
と恥ずかしげに話した。
それを聞いた幸枝は人の恋愛話が好きな性に火がついたか、
「何よそれ、全部聞かせて頂戴よ」
と身を乗り出し爛々とした視線を清士に向けた。
「まあ、僕がそう感じているだけなのかもしれないが」
ふいっと視線を向こうへ逸らした清士であるが、関心を出してしまった幸枝の感情は誰にも止められない。
「ねえ、どんな方なのよ。その知り合いの娘というのは」
幸枝の質問攻めに早々に耐えられなくなった清士は、仕方がないというように話し始めた。
「僕の家には、父同士が知り合いだという家がある。その家には兄妹が居て、定期的に食事会なんかをしていたわけだ。時が経つうちに、僕達はそれぞれ学校や軍隊に行くことになって集まることも少なくなった……それがこの間、家に帰る途中に其処の娘に遭ったということだよ」
「良かったじゃないの、感動の再会ね」
味気ない話だと感じた幸枝は、敢えて皮肉で返したが、清士はここからが本題だと言わんばかりに続ける。
「数年会わなければ外見も内面も変わるもので、彼女はすっかり別人になっていた。僕の知っていた春子……彼女は、今は女子大学校で家政をしていると云っていたが、こう、控えめで静かな人間だったんだ。それが、この間会ってみればお転婆というか活発というか……やたらと距離が近かったんだよ。それに驚いてしまって」
手に持っていたコーヒーカップを置いた幸枝は、清士を一瞥した。
「久々に会った知り合いの家の娘が急成長していたり、その娘が妙に接近してきたり」
と恥ずかしげに話した。
それを聞いた幸枝は人の恋愛話が好きな性に火がついたか、
「何よそれ、全部聞かせて頂戴よ」
と身を乗り出し爛々とした視線を清士に向けた。
「まあ、僕がそう感じているだけなのかもしれないが」
ふいっと視線を向こうへ逸らした清士であるが、関心を出してしまった幸枝の感情は誰にも止められない。
「ねえ、どんな方なのよ。その知り合いの娘というのは」
幸枝の質問攻めに早々に耐えられなくなった清士は、仕方がないというように話し始めた。
「僕の家には、父同士が知り合いだという家がある。その家には兄妹が居て、定期的に食事会なんかをしていたわけだ。時が経つうちに、僕達はそれぞれ学校や軍隊に行くことになって集まることも少なくなった……それがこの間、家に帰る途中に其処の娘に遭ったということだよ」
「良かったじゃないの、感動の再会ね」
味気ない話だと感じた幸枝は、敢えて皮肉で返したが、清士はここからが本題だと言わんばかりに続ける。
「数年会わなければ外見も内面も変わるもので、彼女はすっかり別人になっていた。僕の知っていた春子……彼女は、今は女子大学校で家政をしていると云っていたが、こう、控えめで静かな人間だったんだ。それが、この間会ってみればお転婆というか活発というか……やたらと距離が近かったんだよ。それに驚いてしまって」
手に持っていたコーヒーカップを置いた幸枝は、清士を一瞥した。



