帰っていく来賓の姿が閉ざされた扉によって見えなくなったところで、玉座に座っていたルイゼルトが一国の王とは掛け離れた、だらしない姿勢になって椅子に背中を預けた。



「あの野郎……くだらない言葉ばかり並べるばかりか、鼻の下伸ばしやがって」


「しっ!聞かれたらどうするの!」


「あの様子じゃ、聞こえても俺の言葉はどうせ右から左だろうよ」



 言っている言葉の意味が分からずに眉を顰めると、扉が開かれ背筋が伸びる。

 やはり聞こえて文句を言いに来たのかもしれないと、悪い方向に考えを膨らませたファウラに、心配要らないと笑顔を浮かべてユトが入ってきた。




「本日の拝謁の時間はこれにて終了です。お疲れ様でした」


「ユト。こんなくだらない事に時間を使うのはどうかと思うが?」


「はあ。まだふて腐れてる。いいじゃないですか。揉め事になるような事を話しに来る来賓が来ないだけでも」





 舌打ちをするルイゼルトにユトは溜め息を零す。