式典は婚約の儀へと移り、この国の習わし通りに魔法石の原石を互いの手で握り締め合うと、手の平の中で熱を帯びた原石が、水面が太陽の光を浴びて輝くように、見る角度で七色に色を染める可憐な光を放っていた。その原石は神官の元へと預けられ、神への祈りを捧げた後、結婚指輪に嵌められる。
完成した結婚指輪が見られる華燭の典までは時間があるものの、待つ楽しみが出来たとファウラは小さく笑った。
「皆の祝福に感謝する。では、最後まで楽しんでいってくれ」
ルイゼルトの言葉にとりあえず自分の見せ場が無事終わったファウラは胸を撫で下ろし、会場内に楽団が奏で始めた音楽と共に、優雅なダンスのステップを踏む足音が重なり合う。
その様子を眺めていたファウラだったが、ルイゼルトにエスコートされ、輪の中に入るようにダンスのステップを踏む。彼の足を踏まないように細心の注意を払っていると、上から低い声が落ちてきた。
「その髪飾り、着けてくれたんだな」
「もちろん」
「――綺麗だ」
言葉を飾らない、真直ぐな言葉に一気に体温が上がる。ルイゼルトと同じ瞳の色の髪飾りは、高い天井の上で輝くシャンデリアの放つ光で、その身を美しく煌めかせた。
赤く染まった頬を見て、ルイゼルトは何処か優しそうに笑うのを、周囲はほう……と息を零した。
同じ場に居るというのに、二人の周りは違う空気を纏っている。



