先程よりもしっかりと繋がれた熱にドキドキしていると、綺麗に瞬く光に視線を動かした。

 光の先にあったのは、輝く天然石を散りばめた装飾品が並ぶ小さな露店だった。つい足を止めてしまい、それに気付いたルイゼルトが、行こうと露店に近づいていく。

 並んだ装飾品はどれも見事なもので、女心が擽られた。お洒落とは無縁な生活を送ってきたものの、綺麗なものには目を奪われる。




「綺麗……」




 見惚れてつい口ずさんだファウラの言葉を聞き逃さなかったルイゼルトは、ファウラの目線の先にある髪飾りを手に取った。そのまま髪飾りを買うと、彼女の手の中にそっと置いた。

 ルイゼルトと同じ、人を魅了する赤い花びらを咲かせる花のように象られた石を基調とした髪飾りだった。

 俺はこっちと、ルイゼルトは蒼い色をした小さなクリスタルのネックレスを買って、見せびらかしてくる。



「ファウラの瞳と同じ色だ。これでいつもお互いの瞳を見ていられるな。まあ……本物には敵わないが」



 フードを少しだけ上げられると、見つめてくる瞳が嬉しそうに輝いた。



「やっぱり、綺麗だ」



 嫌われてきた人には見えない力を見ることが出来てしまう目を、ルイゼルトは真っ直ぐに見つめてくれることが嬉しくて、手に置かれた髪飾りへのお礼も込めて、笑顔でそっとありがとうと呟いた。

 王都を堪能した二人は互いの大切に想う色を纏って、その後の買い物を楽しんだ。

 城で帰りが遅いとふて腐れるユトがいる事も知らずに、帰りの馬車の揺れに眠気を誘われたファウラは、ルイゼルトの肩に寄りかかりながら、彼と過ごす楽しい夢を見ていた。